「心を揺るがす社説」より/子どもの心の栄養になる言葉
今日は12月25日。
サークルで紹介してもらった本「日本一心を揺るがす新聞の社説」
(みやざき中央新聞編集長 水谷もりひと著/ごま書房新社)より引用。
説教は何の意味もないのです
小学生の兄弟が万引きで補導された。
連絡を受けた福岡県警少年サポートセンター」の
安永智美さんが2人の小学生と面会した。
兄は2年生、弟は1年生。万引きの常習犯だった。
取調室で2人は「お父さんに殴られる」と泣いた。
万引きして捕まったからではなく、万引きに失敗して捕まったからだ。
両親が子どもに万引きを強要していた。
両親は逮捕、2人は児童相談所に保護されることになった。
施設に向かう車の中で兄は両親を逮捕した安永さんをにらみ続けた。
弟はひたすら泣きじゃくっていた。
安永さん、一緒に泣くしかなかった。
2人を児童相談所に預けると、警察としての仕事は終わる。
しかし安永さんは施設に通い続けた。
彼女にも同じ年頃の2人の息子がいたのだ。
「その子たちの笑顔が見たい」、そう思いながら3か月が過ぎた。
ある日、息子たちがカブト虫に夢中になって遊んでいた。
「そうだ、カブト虫を持っていってみよう」
安永さんは息子たちが学校に行っているとき、
無断で虫カゴから1匹のカブト虫をつかみ、急いで施設に向かった。
「すげぇ」「俺たちにくれると?」
安永さんがカブト虫を見せると2人の目が輝いた。
「そうだよ」とうなづくと、2人は初めて安永さんに笑顔を見せた。
安永さんは二つの約束をさせた。
一つはちゃんとカブト虫の世話をすること。
もう一つは他の友だちが「見せて」と言ってきたら、
ちゃんと見せてあげること。
2週間後、施設に行くと2人は見違えるようになっていた。
カブト虫のお世話をすると、施設の職員から「偉いねぇ」と褒められ、
友だちにカブト虫を見せると、「ありがとう」と言われた。
「偉いねぇ」「ありがとう」、今まで言われたことのない言葉を
たくさんもらっていた。(中略)
安永さんはどんな子にも説教しない。ただ子どもの気持ちに寄り添うだけ。
子どもに絶対言ってはいけない言葉があるという。
「いつまで泣いているの、男のクセに」
「もうお姉ちゃんなのだから、そんなことで泣かないの!」
淋しさや悲しみの感情は、出すべきときに、出すべき人に出さなかったら、
いつかその感情は激しい怒り変わる。
「ありがとう」「偉いねぇ」「たくさん食べて大きくなってね」、
そんな言葉が子どもの心の栄養だ。
安永さんから名刺をもらった。
素敵な5人の女性の写真の横にこう書かかれてあった。
「君を・・・守り隊~サポレンジャー出動」
(34~37p)
教員にとって、貴重な情報はあちこちにあります。
この本の中にもありました。
子どもの心の栄養になるような言葉をかけているだろうか。
あるいは、自分ではなく他の人からかけられるように
仕組んでいるだろうか。
安永さんは、上手に仕組んでいて素晴らしい。
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