谷口仁史さんから学ぶ/依存を生まない展開
今日は12月3日。
前投稿に引き続き、11月27日の
「子ども・若者の育成・支援を考える集い」の報告です。
谷口仁史さんの講演でのお話を箇条書きしています。
〇相談室対応とは異なるアウトリーチ現場の特殊性
①困難事例が多い
「最後の手段」としての利用
複数の相談支援の失敗を経験
孤立状態の長期化による問題の深刻化、複合化
トラウマによるメンタルヘルスの問題
②相談意欲が低い
対人関係の苦手意識
警戒心、恐怖心、無力感、絶望感、学校不信、
社会不信、人間不信、認知のゆがみ・・・・
③関係性が複雑
本人との関係性の構築の難しさ
親や兄弟、友人など複数の人間との接触
家族間の関係などへの配慮
限られた人間関係の中での依存・・・
④危険性が高い
追い詰められた心理状態
家庭内問題に関わるリスク
自殺企図や暴力など自傷他害のリスク
家族や第3者との接触による危険性・・・
〇従来型の家庭訪問の問題点
単一機関や単一分野の知見に偏った支援ノウハウ
個人の資質や経験、美談や根性論に基づいた訪問活動
⇓
決定的失敗や2次被害を生む「可能性」
〇社会的孤立からの脱却
個別対応から小集団活動→集団活動→社会参加への段階的移行
小集団活動の時に気をつけることとして次のことを言っていました。
「依存を生まない展開による人間関係の適正化」
この言葉が印象に残りました。
あまりに関係が強くなると「依存」になってしまう。
「その人ならしゃべれる」「他の人とはしゃべれない」
これは決してよくない。
したがってつかず離れずの絶妙な間隔が必要とのこと。
社会的孤立の脱却の過程で、集団活動時に困るということでしょう。
〇個別対応で夜釣り。
集団活動でルアー釣り。頻繁に作業をしなくてはならず、
誰かとしゃべりたくなかったら、しゃべらなくても済む。
〇初めて会うのに初めてではないような雰囲気をあらかじめ作っておく
この発想も面白かった。
次に誰かと一緒に集団行動させるときに、
その相手のことを事前にいろいろ話しておくという手段。
こういうことも考えながら支援しているんだなあ。
〇社会参加・・・就労体験
どの仕事を体験させるべきかは配慮が必要。
配慮のない体験は苦手意識やトラウマを強めるリスクが高い。
さらには「全ての仕事に価値がある」という発想が前提。
〇支援事例として谷口さんは次の事例を紹介してくれました。
資料より↓
内閣府『困難を有する子ども・若者及び家族に対する
支援の在り方に関する調査研究報告書』第2章に掲載。」
とあります。インターネット上にあるかなと思って見てみました。
次のサイトへ行きつきました。
※内閣府HP 平成25年度 困難を有する子ども・若者及び家族への支援に関する調査研究
しかし、事例については「個人情報保護の観点から省略いたします」
とあって、掲載されていませんでした。どこかで読みたいなあ。
〇図によって、たくさんの機関が関わっていることがわかる。
さらには家族支援も行われている。
谷口さんは新興宗教の人たちに会って、直談判をしたり、
東京に住む母親に会って、問題がある母親自身も支援を必要と
する当事者であることをつきとめて、支援を行っています。
その結果、子どもは高校での安定した学校生活を送ることができ、
家族も再統合されました。
学校現場では、「学校が関われるのはここまで」という言葉を聞きます。
谷口さんは枠を飛び越えて、いろいろな機関と連絡を取り合い、
本人対応だけでなく、いろいろな支援を行っています。
ドラマチックでもあります。
ここまでしないと、事態は複雑化・複合化しているということでしょう。
50分の番組では表現できなかったことがたくさんあることを知りました。
やっぱり出かけていって良かった。
11月27日の集いには、もう一人ゲストがいました。
西隈亜紀さんです。
毎日新聞社勤務→精神科病院に入職→
2013年NPO法人東京フレンズ立ち上げ
グループホーム「キキ」を設立
そもそも「グループホーム」という言葉を知りませんでした。
次のサイトから引用します。
高齢者や障害者が少人数(5~10人程度)で
共同生活を営む住居,およびその形態。
地域社会になじみながら
家庭と似た環境で暮らすことができるのが特徴。
知的障害者の集合住居だけではなく,認知症の高齢者,精神障害者,
身体障害者など生活における支援・補助を必要とする人々が,
専門職員による介護を受けながら日常生活を送るための住まいをさす。
でも、このような施設は、
今年の夏休みに行ったNPO法人も持っていました。
その時に「グループホーム」って言う名前だったかな?
以上で11月27日の報告は終了。
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