「天地明察」より・・・男女の縁
今日は1月6日。
前投稿に続いて、11月に読破した「天地明察」(冲方丁著/角川書店)より。
映画「天地明察」をまだ見ていません。
レンタルが始まったら、借りて見たいと思っています。
調べたところ、2月2日がレンタルスタート日です。
ちなみに投稿で書いてきた人の配役を調べました。
建部昌明と伊藤重孝は、笹野貴史さん(右)と岸部一徳さん。
なるほど。
関孝和。市川猿之介(四代目いちかわえんのすけ)さん。
いいですねえ。
次は保科正之。
これは松本幸四郎さん。
これまたいいですね。
やっぱり考えられていますね。
主人公渋川春海は、岡田准一さん。
そしてお互い2度目の結婚で結ばれるえんを、宮崎あおいさん。
物語の最初で、春海とえんが出会うので、この2人は結ばれると思っていました。
しかし、2人は別の伴侶を得て別れます。
男女の場合、こうなると縁は遠のきます。
それから10年余りして、2人とも伴侶に死なれて再会します。
遠のいていた縁が、再び近づいて2人を結びつけました。
この小説で、この男女の縁も楽しみました。
男女の縁って不思議です。
どこかで神様みたいな絶対的な支配者が操っているのでしょうか。
春海とえんが再会し、数年して夫婦になる約束をした場面を引用します。
「あなたの亡き奥方様に代わり、今日から私があなたを見張っておりますから」
「うん・・・・。それで、あのう・・・・もう一つ、頼んで良いかな」
「いったいなんですか」
「私より先に、死なないでくれ」
えんはしばらく春海を真っ直ぐ見つめ、それから、おもむろに吐息した。
「無茶ばかり頼まないで下さい」
「すまない・・・・でも頼む。頼みます」
「分かりましたから、あなたもしっかり長生きをして下さい。いいですね」
「うん。けど、えんさんも・・・・」
はいはい、と素っ気なくあしらわれた。
そして、またじっと春海を見た。春海もえんを見た。
塾で12年ぶりに再会したときのような不思議な沈黙が降りた。
いい歳の男女が、本当に今このとき、青年と娘に戻って見つめ合っている気分だった。
春海はほとんど初めて、この女性がこれから自分の妻になることを意識した。
そんなことを正直に言えば、えんは滅茶苦茶に叱られそうだが、無我夢中の勢いだった。
それが今やっと冷静になり、実感が湧いた。
初めて出会ってからおよそ15年。
実現を願うどころか想像すらしなかった想いの成就だった。
「あの・・・私も、お頼みしたいのですが」
「な、なんだい。なんでも言ってくれ」
すると、えんは、ちょっと目を逸(そ)らして、その頼みごとを口にした。
「早く、この帯を解いていただけますか」
春海は真顔のまま、こっくんと大きくうなずいた。(418~419p)
名場面でした。映画では・・・そりゃあこの場面は外せませんよね。
小説のラストに驚きが待っていました。
知りたくない人は、ここより下は読まないように。
なんと、春海とえんは同じ日に亡くなります。
約束を守ったのです。
これって本当のこと?
コメント