図工の授業2・・・「エプソムの競馬」
今日は11月26日。
前投稿のつづき。
「建帛社」の「小学校図画工作科の指導」の143pから高学年の鑑賞の授業について書いてあります。
冒頭にこう書いてありました。
学習指導要領では、「我が国や諸外国の親しみのある美術作品」や
「暮らしの中の作品」などが加わり、さらに鑑賞の対象が拡大する。
この時期の子どもたちは、ものごとを客観的にとらえられるようになり、
相手の立場に立って考えたり、想像したりすることができるようになる。
したがって、この時期の鑑賞では、自分たちが直接かかわる身近な作品や事物だけでなく、
時代や文化の異なる作品についても、広く目を開かせたい。
特に、ものごとを分析的にとらえられるようになっているこの時期の特性を生かし、
作品を比較したり、分析したりして、より深く理解し、味わう楽しさを味わわせたい。(143p)
現在6年生の担任。
6年生にとっては、「我が国の諸外国の親しみある美術作品」を比較分析させて味わわせたいわけです。
そこで、題材。
2つの絵画を題材として提案してあって、指導案が載せられていました。
絵画の1枚目を紹介します。
「エプソムの競馬」(1821年 テオドール・ジェリコー作)
絵のサイズは、92 cm×122.5 cm
ジェリコーはフランス人。フランスロマン主義の先駆者と言われています。
彼がイギリス・ロンドンに出向いた時に見た
エプソム競馬場で行われたレースを描いたもの。
ただこの絵には、有り得ないことが描かれています。
馬の脚です。
前脚、後ろ脚が伸びきっている状態はありえません。
ジェリコーは、馬や動物を描くことを得意とした人で、
こんな走り方をしないことは重々承知で描きました。
「フライング・ギャロップ」と呼ばれる手法だそうです。
なぜこのような描き方をしたのか。
馬の疾走感を出すために描いたのです。
前脚、後ろ脚が伸ばし、さらに胴体も伸ばしたのです。
このあたりのことを子どもたちにつかませたいです。
ジェリコーのこの作品は知りませんでしたが、
次の作品は知っていました。
「メデュース号の筏」(1819~1820年)です。
そのサイズに驚きます。
491 cm × 716 cm!
「エプソムの競馬」「メデュース号の筏」とともに、ルーブル美術館にあるそうです。
この絵画にまつわる話も注目です。
このサイトを是非。※「賢者の石ころ 徒然にフランス・ロマン派の先魁『テオドール・ジェリコー』」html
上記サイトに、ジェリコーの死について書いてありました。
「エプソムの競馬」制作から3年後の1824年1月に32歳で亡くなっています。
乗馬の好きだったジェリコーは2度落馬し、それがもとで32歳の短い人生を、
まるで好きだった馬で疾走したようにこの世を去って行きました。
死の床で彼は叫んだといいます。 「まだ何も、していない!」
この一言は共感します。私もまだやっていることが途中です。(つづく)
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