「バンド」「ドッチボール」でもいいじゃないか
(前投稿のつづき)
前投稿で紹介した本「方言と地図」(フレーベル館)に次のように書いてありました。
新しく生まれる方言
言葉はいつも少しずつ変化しています。
少し前の世代の人は洋装の下半身の衣服や腰帯を「ズボン」、「バンド」と言いましたが、
今の若い人は「パンツ」、「ベルト」と言います。
そのように、今でも若い世代から生まれる新しい方言があります。(22p)
これを「新方言」と井上史雄さんは呼んでいます。
上の文章の続きです。
また現代では、ある地方の方言が東京に入ってきて、
テレビ、ラジオの電波にのって全国に広がる場合もあります。(22p)
これが前投稿にも書いた「東京新方言」です。
私も腰帯を「バンド」と言っている一人です。
かつてそのことで若い人に「バンドって何ですか?」と言われた体験があります。
http://mitikusa.typepad.jp/blog/2008/04/post-d192.html
その時は調べて、私がバンドの使い方を間違えていたことを知りました。
新しいことを知ったのはよかったのですが、
長年使ってきた言葉が違っていたことを知ったのは少々がっくりでした。
しかし!
少し気が変わりました。
以前は確かに腰帯のことを「バンド」と呼んで通じたのです。
きっと同じ世代なら通じるはずです。
つまり腰帯のことを「バンド」という言い方はちゃんと存在したのです。
いや同世代の間では存在しています。正しいのです。
胸を張ろう。
辞書だって、世間の使われ方を見て書かれるはずです。
もしかしたら、古い国語辞典で調べたら、「バンド=腰帯」とあるかもしれません。
同じことが「ドッチボール」にも言えます。
「ドッジボール」が正しいと言われる昨今ですが・・・
もちろんもとになった英語の綴りを見ると確かに「ドッジボール」だとは思います。
そう書いたこともあります。
http://mitikusa.typepad.jp/blog/2007/06/post_1.html
でも、私たちは「ドッチやろう」と確かに言い合っていて、通じていました。
私たちが子どもの頃に使っていたのは、やっぱり「ドッチボール」です。
英語の綴りからカタカナを作ったとは思いません。
耳から聞こえた言葉をカタカナにしたとしたら、
「ドッチボール」と聞きとった可能性もあるわけです。
実際に「ドッチボール」で検索すると、たくさんヒットします。
もし世間に逆らって、「バンド」「ドッチボール」を使い続けたら、
再び世間がそうなるかもしれません。
揺れる言葉。
絶対これじゃないといけないと決めるのではなく、少し楽しみたくなりました。
教師がこんなんじゃいけないかな。
「バンド」「ドッチボール」は少なくとも使い続けたいと思うようになりました。
恐る恐る使っていた自分がさびしい。
次の投稿がラスト。
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