「漢字は楽しい」その2・・・臭戻器
前投稿からのつづきです。
本「白川静さんに学ぶ漢字は楽しい」(共同通信社)のことです。
「臭」「戻」「器」も、「大」という字が含まれていますが、元は「犬」であり、当用漢字(1946年)常用漢字(1981年)が定められた時に「大」になってしまったそうです。(”嗅”は犬が残ったのに、臭は大になりました)
これでは漢字の成り立ちを無視したものです。この本の中で、こう書かれています。
「旧字を現在の字形に改めたときに、古い字形を理解しないまま変更してしまった漢字が多く、これらの文字は文字構成上の意味を失ってしまいました。この本の中で一貫して述べてきたように漢字は非常に体系的に出来上がっている文字です。それを戦後の漢字改革の際、漢字の体系性への無知ゆえに、多くの漢字が根拠なく字形を変えられてしまいました。白川静さんは、このような漢字は元の字形に改めるべきだと主張してきたのです。/もとと”犬”にある点は、犬の耳の意味で、この点をつけることで、”犬”と、人の正面形をあらわす”大”を区別したものです。”犬”から点を取ってしまい、犬も人も同じにしてしまったのが、戦後の漢字改革なのです。」(108~109p)
当用漢字、常用漢字にどっぷりつかっていて、旧字の読みづらい古いものと思ってきた私には、衝撃的な内容です。
(両親が昭和30年代に息子のために買いそろえた文学全集は、旧字だったため息子は読まず。私のことです。今も本棚にあります。)
明日からの漢字指導では、漢字の成り立ちについてさっそく語っていきたいと思います。私には強い味方があります。
この本の監修をした白川静さんの「常用字解」です。以前から持ってはいましたが、使いこなせていませんでした。今なら使うことができそうです。(白川静さんは2006年に96歳で亡くなられました)
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この事典の中央に書かれたデザインが何か?今回の本「白川静さんに学ぶ漢字は楽しい」を読んで、やっとわかりました。白川さんの最大の業績の一つでした。
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