本「アンゲラ・メルケル」② 「彼女は労をいとわなかった」
今日は令和4年12月23日。
前投稿のつづき。
「アンゲラ・メルケル 東ドイツの物理学者がヨーロッパの
母になるまで」(マリオン・ヴァン・ランテルゲム著
清水珠代訳 東京書籍)より。
一人の出席者が「50年後の歴史書にどのように書かれたいです
か?」と尋ねたところ、メルケルは「彼女は労をいとわなかった」
と、はっとするようなひと言を返しただけだった。
(15p)
いいですね、このセリフ。
私もこう言いたいな。
歴史書には載らないけど、
その時その時、できることは労をいとわずに、
やってきたよなと思いたい。
思ってもいいでしょ。
死に際には言いたいです。
自分をこの点で肯定して死にたいですね。
アンゲラ・メルケルは言葉を大切にする指導者であり、コミュニケ
ーションより事実を求める。できることを約束する愚を彼女が犯し
たことはない。メルケルは「骨の折れる」民主主義の実践を行った
ことになるだろう。この表現はもっとも英雄的な闘士の一人だった
チェコスロバキアの元大統領ヴァ―ツラフ・ハヴェルのものだ。「
民主主義が元来持つ難点は、真摯に受けとめない者にほとんど何も
かも許すいっぽうで、誠実に実践する者にはきわめて骨の折れる仕
事であるということだ」。アンゲラ・メルケルは権力の行使に苦心
し骨を折った。彼女は自由の価値を誰よりも知っていたからだ。シ
ニスム(冷笑主義)よりもモラル、原理、法治国家、ヨーロッパの
統一といった気の重い事柄を選び、骨を折った。彼女は平和と民主
主義がどれほど手の届かないものか誰よりも知っていたからだ。メ
ルケルは本質的に、そしてきわめてアンチ・トランプ、アンチ・ジ
ョンソン、アンチ・ポピュリズム派だったことになるだろう。
(20p)
メルケルに興味を持ったのは、この点だと思うのです。
民主主義が当然行き着くところだと思っていたのですが、
世界の国々は必ずしもそうはなっていません。
でも東ドイツを体験しているメルケルは、
自由や民主主義が大事なものだとわかっていて、
それを実現しようとした人だったからでしょう。
つづく
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