「おれは一万石 無節の欅」読破/主人公の享年37才に驚き
今日は令和4年1月14日。
「おれは一万石」シリーズの第5弾を読みました。
「おれは一万石 無節の欅」
(千野隆司著/双葉文庫)
引用します。
「いえ。今回から新たに三河吉田藩七万石の松平信明様が、顧問格で
加わると伝えられております」
「ああ、そうであった。英邁(えいまい)の誉れが高く、家斉公に認
められて奏者番を務めておられる方だな」
来年にも、側用人に抜擢されるだろうと、知り合いの旗本が話してい
た。
「いずれ老中にまでなられる方でしょう」
佐名木は言い足した。これはのちに現実となる。翌年の天明八年には
老中入りし、松平定信と共に幕政に関わった。
(29~30p)
すぐ隣の豊橋市が元吉田藩。
吉田藩出身の人が老中となり、松平定信と共に幕政に関わったと知って、
興味を持ちました。
この「一万石」シリーズ。
フィクションなのかノンフィクションなのかと思って読んでいます。
「のちに現実となる」と書いてあったので、調べました。
実存していました。
そもそも主人公はどうなのだろう?
高岡藩藩主となる人物、井上正紀(まさのり)。
いい機会なので調べました。
スーパーマンのような活躍をしている主人公も実在の人物でした。
ちょっとショックだったのは、享年が37才であること。
若くして死んでしまったのだ。
千野隆司さんは、井上正紀という人物を知って、
小説の中で活躍させようと創作しているのでしょう。
「札差」という職業に興味を持って読み始めたシリーズ。
※ここでも道草 「おれは一万石 商武の絆」読破(2021年11月23日投稿)
もう少し続けて読んでみようと思います。
(宮大工の)宇左衛門は立ち止まった。その丸太を、指で撫でなが
ら言った。
「これは、欅(けやき)です。檜(ひのき)よりも硬く、狂いが少
ない木材です。落ち着いた風合いがありますんでね、人気がありま
す。無節(むせつ)のものならば、そのへんの檜よりも高値になり
ます」
檜が何よりも高級材という印象を、多くの者が持っている。樹種だ
けで騙されてはいけない、と言いたいらしかった。
「節が多いと、安値になるわけだな。なぜか」
「節には支える力がないからです。節の部分は、他と比べて厚みが
少ない分だけ弱いのです。他の材を被せて使えば気付かれずに済み
ますが、そんなことをしたら、初めはよくても、二十年三十年する
うちに脆(もろ)さが現れ出てきます」
節が多い木は、木材として質が良くないといわれる理由を初めて知
った。
(78~79p)
これも勉強だと思って読みました。
欅の木については、「ケヤキ」というカタカナで
何度か記事にしてきました。
これを機会に古い記事を読んでみました。
※ここでも道草 ケヤキの花/藤の花が咲き始めた(2009年4月13日投稿)
13年前の自分は、ケヤキの花に関心を持っていました。
今回は木材としての欅に注目しました。
確かに欅は硬そうでした。
辿り着いた場所は深川も東の外れ、木置場と江戸の海に挟まれた
洲崎弁財天近くにある升屋という料理屋だった。味の評判もさる
ことながら、瀟洒(しょうしゃ)な建物と手入れの尽くされた庭、
二階から江戸の海が一望できるという話だ。料理屋でなくとも知
らない者のいない店である。
明和期(1764~72)以降、特に田沼時代には多数の料理屋
が生まれて隆盛を極めた。日本橋室町の百川(ももかわ)、神田
佐柄木(さえき)町の山藤(さんとう)、向島の葛西太郎(かさ
いたろう)といった店とともに、升屋は江戸の人々のあこがれの
店になった。
(231p)
ここでノンフィクションの部分が出てきました。
「升屋」については江戸の食文化 料理屋で勉強。
実存しました。
名前から「葛西太郎」に興味を持ちました。
※コトバンクに説明がありました。
料理茶屋の中田屋の別称だったようです。
なぜこのような名前がついたやら。
このシリーズを読んで、江戸時代を教えたら、
もう少し深みが出たかもしれません。
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