「苦しい時は電話して」② ピントを合わせてくれたレビュー
今日は令和2年12月20日。
前記事に引き続き、
「苦しい時は電話して」
(坂口恭平著/講談社現代新書)より。
このサイトに載っていた、私のピントを合わせてくれた
カスタマーレビューです。
自ら双極性障害(昔の躁鬱病)であることを公開し、作家活動ほかを
している坂口氏の最新刊です。補足すると、「死にたいと思っている
ほど苦しいときは、私(坂口氏)のスマホに電話してください」とい
うことです。この電話を「いのっちの電話」と名付けています。
エッ?個人情報保護が重視されるこの時代に、自分の電話番号を公開?
この疑問は、本を読み終わると解決します。電話で話すことにより、
相手を救い、自分も救われているのですね。
著者は「いのっちの電話」でたくさんのヒトと話をする中で、「死に
たい」と思うときは驚くほどその思考回路が似ていることに気づきま
した。それを「反省熱」とか呼んでいます。
これは一つの“症状”ではないか?
誰でも陥る可能性のあるパターン化した思考回路ではないか?
ならば対処法があるのではないか?という斬新な発想。
精神疾患は思春期以降に発症することが多いとされています。
なぜ小学生では発症しないのか?
著者は「生活リズムがキチンとしているから」と推察しています。
朝起きて、ご飯を食べて、学校へ行き、クタクタになって帰り、風呂
に入ってご飯を食べて寝る。この日課が決まっていると、ヒトは体調
を維持しやすい。
しかし自由度が高くなればなるほど、かえって生活は乱れて心も安定
しなくなるのではないか、と。なるほど、一理あるかもしれません。
それから、「死にたい」と悩んでいるときの体の状況は、
「何かを創造するとき」とよく似ている、という発見をしています。
「24時間あなたは悩み考え続けられる状態で、力が有り余っていて、
もうすでにアウトプット状態に入っていて、思考は毎秒外にあふれ出
ている」
「悩むことは言葉が涌いてくること、だから“書くヒト”になれる」
これには目からうろこが落ちました。
確かに、後世に名を残す小説家や芸術家は、精神疾患を病んでいる人
が多いですね。
現在でも読み継がれている夏目漱石は神経症、芥川龍之介は統合失調
症と言われています。
こんな本、今まで読んだことがありません。
悩める現代人の心の病理への羅針盤になり得る文章だと感じました。
こうやって、的確に本の内容を紹介できてしまう。
ありがたいです。
この通りです。
私もこんな本、今まで読んだことがありませんでした。
本の骨子はこのレビューでわかります。
次の記事からは、私が印象に残った文章を引用していきます。
つづく
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