パラリンピック〈18〉 「パラアスリート」⑤ 北九州チャンピオンズカップ
今日は令和2年2月16日。
昨日の記事に続いて
「パラアスリート」(山田清機著/PHP研究所)
より引用します。
【車いすバスケ選手 藤澤潔 ふじさわ・きよし】その3
2002年、藤澤は決定的な体験をしている。例によって母親
の発案で観戦に行った「北九州ゴールドカップ」(第8回世界
車いすバスケットボール選手権大会)で、イギリスのローポイ
ンター、ジョン・ボロックのプレーを生で見たのである。
「ポロックのポイントは2.5なので僕よりちょっと状態がい
いぐらいですが、3ポイントシューターで、強気にバンバンビ
ッグショットを打ちながらチームを引っ張っていくんです。す
ごいなと思いました。僕も世界レベルの選手になりたいと憧れ
をもちました」
(92~93p)
北九州ゴールドカップは、北九州市が「バリアフリーなまちづ
くり」と「市民による手作りの大会」を標榜し、市を挙げて取
り組んだ大会だった。数百人の市民ボランティアが大会を支え、
10日間の会期中の観客動員数は実に8万人超。この大会の成
功を記念して、翌2003年から「北九州チャンピオンズカッ
プ」が毎年開催されることになったのである。レガシーとはま
さに、こうしたことを言うのだろう。
(93p)
Wikipedia 北九州チャンピオンズカップ国際車椅子バスケットボール大会
☝ ここには次のように書いてありました。
当初は国代表チーム戦であったが、2006年(平成18年)の
第4回大会よりクラブチームチャンピオン世界一決定戦となっている。
そして昨年の大会では、日本チームが優勝しました。☟
※北九州チャンピオンズカップ国際車いすバスケットボール大会HP
2018年7月1日、日本車いすバスケットボール連盟は、同
連盟が主催するすべての大会において、健常者の参加を認める
ことを議決した。
すでに国内には、健常者を主体とした車いすバスケの大学リー
グがあるし、各地のクラブチームで障がい者と一緒に練習に励
んでいる健常者も多い。今回の決定は、そうした健常者プレー
ヤーに大会参加の道を開いたことになる。背景には障がい者も
分け隔てなく車いすバスケットボールという競技に参加するこ
とを通じて、共生社会の実現に貢献するという連盟の考え方が
ある。
「連盟に登録している選手の数は、最盛期に1200人を数え
ましたが、いまは700人まで減ってきている状況です。地域
によっては持ち点の関係で14.0点のチームが構成できない
ケースも出てきていますが、今後健常者の参加が増えていけば、
こうしたチームも共生社会の実現に向けて大会に参加できると
いうことも見えてきます。今年度はすでに、60名の健常者の
方が選手登録をしています」
選手が減少している理由としては、交通事故や作業中の事故が
減少していること、医療制度改革によって長期のリハビリを受
けることなく病院を出されてしまう障がい者が増えたことなど
が考えられるという。かつては長期間にわたってリハビリを受
けるうちに、さまざまなパラスポーツに誘われ体験する機会が
あったが、この情報過多の時代に、むしろパラスポーツとの接
触機会は減っているというのである。
(100~101p)
連盟の新たな規定で、健常者は最軽度の障がい者と同じ4.5
ポイントをもつことになった。試合に健常者が出場することが
車いすバスケの世界にどのような影響をもたらすのかは未知数
だが、藤澤がK9のメンバーになったときに感じた、「障がい
者同士の戦いだからこそ、言い訳できない」という感覚は、果
たして保たれていくだろうか。
(101p)
健常者が酸化することになった車いすバスケの未来は?
著者はまた難しい問いを発してきました。
つづく
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