オルセー美術館5・・・「草上の昼食」(マネ)
今日は4月25日。
昨年10月に改装工事が完了したフランスのパリのオルセー美術館。
そのためか、最近はオルセー美術館関係の番組が多いです。
そのうちのひとつ。3月12日放映の「極上美の饗宴 シリーズ新オルセーの輝き
門外不出の至宝の謎 マネ 草上の昼食」より。
「草上の昼食」(エドゥアール・マネ作 1862~1863年) 208 × 265.5 cm
映画女優ソフィー・マルソーが、オルセー美術館で最もお気に入りがこの作品だそうです。
オルセー美術館にとっても大事な絵で、門外不出の絵だそうです。
番組では、なぜ女性だけが裸であるのか、なぜこちらを見ているのか、
写真家ホンマタカシさんが、絵と同じ構図の写真を使って検証していました。
上の写真のようにいろいろなパターンで撮影。面白い試みです。
一人だけ裸であることで、手前の女性を特別な存在として見せようという意図があったと考えていました。
一人だけこちらを見ているのも、同じ理由です。
当時、女性を裸体で描いたことで、マネは多くの批判を浴びました。
当時は、女性の裸体は、妖精や女神じゃないと描いてはいけないというルールがあったようです。
古典的絵画のルールです。
なのに、マネは現実の女性を描きました。
プロポーションも理想化せず、見たままを描きました。
古典的絵画からの脱却、絵画の常識を覆すことをマネは目指したようです。
マネは、この絵を描くにあたって迷ったようです。
エックス線で下書きを検証していました。
それによると、マネは古典的な絵画を参考にしていました。
手前の3人のポーズは、16世紀の「パリスの審判」の構図そっくりです。
絵の向かって左側には、古典的絵画でよくつかわれる遠景を描こうとしていました。
この絵が、当初描こうとした絵と予想されます。
マネは、遠景をやめます。
そして、女性がぬいだ服を描きたします。
服があることで、女性が女神でも妖精でもなく、
現実の女性であることを示したのです。
古典的絵画と新しい描き方の間で迷いつつ、マネは古典的絵画から脱しました。
マネはこう言っています。
この後、古典的絵画ではない、今を描く画家がたくさん出てきます。
印象派と呼ばれます。
マネは印象派の父と呼ばれます。
「草上の昼食」は、新しい絵のスタートを記念する画期的な絵でした。
印象派の作品をたくさん所有しているオルセー美術館にとっては、
とても貴重な絵であって、門外不出の扱いをしているわけです。
この番組もいい勉強になりました。
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