片付けができない子2
今日は7月17日。
前投稿のつづきで、親野智可等先生の回答を紹介します。
だらしがない、片付けができない、やるべきことを後回しにする、
マイペース、字が雑……。
子どものこのような点を直してやるのは、非常に難しいことです。
私は、正直なところ、直してやることはできないと思っています。
これらを、子どものときに直してやるのは不可能なのです。
というのも、これらはみな生まれつきのその人の個性だからです。
大人ですら、自分をなかなか変えられませんよね。
あなたは、自分の苦手な面をすぐに変えられますか? 私にはできません。
大人にもできないことが子どもにできるわけがないのです。
大人のほうが、自分を変えたいという内面的なモチベーションも高く、
意志力・実行力・生活経験・工夫する力のどれをとっても高いのに、
それでもなかなか自分を変えられないのです。
子どものほうが、自分を変えたいという内面的なモチベーションも低く、
意志力・実行力・生活経験・工夫する力のどれをとっても低いのです。
ですから、子どもの苦手な面を変えるというのは、至難の業なのです。
子どものころなら直しやすいというのは、迷信であり、嘘なのです。
「鉄は熱いうちに打て」というのは、苦手なことを変えるという点では当てはまらないのです。
うつママさんは「何度も何度もそれこそ何年も言い続けているのですが、直りません」と書いていらっしゃいます。
うつママさんだけでなく、とても多くの人がそう感じているはずです。
でも、これから先何年同じことを続けても、結果は同じです。
それは明らかです。
そして、あまり言い過ぎると副作用が出ることも考えたほうがいいでしょう。
ですから、もう、今日を限りにきっぱりやめたほうがいいと思います。
どうせ言ってもムダなのですから。
その代わり、いつも私が言っているように、
叱らなくても済むような生活の流れにするのです。必要なのは合理的な工夫です。
その気になって工夫をし始めると、けっこういろいろと変えられるところがあるものです。
そして、そのような工夫をして、それでもできないところはたくさんあります。
それについては、目をつぶればいいのです。それが、楽しく暮らすコツです。
夫や両親に対しても、いろいろ目をつぶっているはずです。
もちろん、向こうも同じように目をつぶっているのですが。
そして、自分に対してはもっともっと目をつぶっているはずです。
子どもにだって目をつぶればいいのです。
そして、できないところは親子でやればいいし、
親が黙ってやってやる部分があってもいいのです。
そういう部分がすごくたくさんあってもいいのです!
できないところは、親が黙ってやってやればいいのです!
私の母親は黙ってやってくれました。そうやって、毎日を楽しく暮らすことが大事です。
そうしながら、待てばいいのです。子どもの成長を待てばいいのです。
子どもは、ゆっくりですが着実に成長しています。
大人になり、社会人になって、それなりの責任をもって仕事をし始めると人は変わります。
だらしなかった子も、だらしないなりにしっかりしてきます。
忘れ物の多かった子も、片付けない子も、すぐにやらない子も、
みんなそれなりにしっかりしてくるものです。
うつママさんのお子さんのような子が昔もいっぱいいたはずですが、
今はみんな大人になって、それなりに立派にやっているのです。
ですから、先ほど言ったような合理的な工夫をして、
毎日を親子で楽しく明るく暮らしていけばいいのです。
そうすれば、子どもが大人になったときに、
親の愛情をいっぱい実感している人になってくれます。
子どもが大人になった暁に、親子の人間関係がいい状態であるかどうかは、
人生の非常に重要な分かれ目です。
親の愛情を実感していて、親子の人間関係がいい場合は、
その人はこれからもしっかりまっすぐ生きていきます。
人を思いやりながら、いい人間関係を作りながら、明るく楽しく生きていきます。
細かい問題はいくつか生じるかもしれませんが、基本的にはだいじょうぶです。
もちろん、親にも素直に優しく接することができます。
でも、そうでない場合は心配です。
それは、心を寄せるところがない、心の安らげる場所がない、心の故郷がないということです。
自分の心のコップが満たされていないので、人に優しくすることができません。
心が寂しいので、望ましくない誘いにも引きつけられがちです。
もちろん、親にも素直に優しく接することができません。
この分かれ目は、すぐにやってきます。
親が思っているより、はるかに早くやってくるのです。
子どもが子どもでいる時間というのは、案外と短いのです。
今の毎日の、親の一言一言が来たるべき日を用意しているのです。
私ができる範囲で、精いっぱい提案させていただきました。
少しでもご参考になれば幸いです。
うつママさん親子に幸多かれとお祈り申し上げます。
2007年2月28日の文です。
私の考え方の一部になっているのを感じます。
途中で「叱らなくても済むような生活の流れにするのです」という言葉が出てきます。
具体的には、「『叱らない』しつけ」(親野智可等著/PHP研究所)が参考になります。
懇談会での真剣なお母さんとの話から、
親野先生の話の復習ができました。
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