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2010年1月7日

2010年1月 7日 (木)

「ら抜きことば」「レタスことば」「さ入れことば」いろいろあり

(前投稿のつづき)

「ら」抜き言葉に気をつけて書いていたらどうも違和感あり。

結局、「ら」抜き言葉の発祥地で、「ら」抜き言葉に慣れた身には、

「ら」が入った方に違和感があったようです。

1月4日から書き始めた「ら」抜き言葉関係の文章も今晩でキリにします。

明晩は市内の国語の先生たちに混じっての飲み会。

今回自分が勉強したことを話して、いろいろ教えてもらおうと思っています。

    

井上史雄さんの本から再び引用。

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ちょっと難しい本でしたが、次の部分はイメージが浮かんで納得できたところです。

「ら」抜き言葉以外に、「レタスことば」「さ入れことば」なるものがあることも知りました。

   

もう一つことばの変わり方について述べておきますと、

雲の動きのようなものだな、というふうに考えています。

秋の雲などは、一つ雲が行くと青空が出るのですが、

また別の雲が出てきます。

つまり一つずつ動いていくのですが、

ことばの変化もそんなもののような気がします。

   

「ら抜きことば」も、江戸時代以来の最初の流れ(読める、走れる)があって、

近代になって次の流れ(来れる、見れる)があって、

今、「ら抜きことば」がどんどんどんどん普及している。

そうしたら、こんどは「レタスことば」というのですが、

別の言い方(読める、見れる)がまた出てきて、

今変化しつつある。

それから「さ入れことば」(歌わせていただきます)というのも出てきている。

  

全部が一度にさっとかわるんじゃなくて、

少しずつ少しずつ動いていく、という気がします。

雲の動きも、じいっと見ているのはかなり難しいですけど、

ことばの動きもずうっと見ているのはかなり大変です。

でも、気づいてみると、

「あっ、もうこんなにら抜きが広がっちゃった」ってことに気づく。

そのときに気をつけていると、

「あっ、ら抜きとは別の言い方がまた出てきた」ということが分かる。

しばらく経つと、別の言い方が進んで、

もっと別の言い方が出てくるということがあるんですね。(192-193p)

    

こののんびりした様子がいいなと思います。

言葉の変化をこうやって観察し、変化を楽しめたらいいなと思います。

今まで言葉をあくせく使い過ぎていたのかも。

「この新しい言葉はいいな」「どこで生まれた言葉なのだろう」

「どうしてこの言葉は生まれたのだろう」

「この言葉は捨てがたい。古いと言われても使っていこう」などなど。

「バンド」「ドッチボール」でもいいじゃないか

(前投稿のつづき)

前投稿で紹介した本「方言と地図」(フレーベル館)に次のように書いてありました。

   

新しく生まれる方言

言葉はいつも少しずつ変化しています。

少し前の世代の人は洋装の下半身の衣服や腰帯を「ズボン」、「バンド」と言いましたが、

今の若い人は「パンツ」、「ベルト」と言います。

そのように、今でも若い世代から生まれる新しい方言があります。(22p)

  

これを「新方言」と井上史雄さんは呼んでいます。

上の文章の続きです。

  

また現代では、ある地方の方言が東京に入ってきて、

テレビ、ラジオの電波にのって全国に広がる場合もあります。(22p)

    

これが前投稿にも書いた「東京新方言」です。

   

私も腰帯を「バンド」と言っている一人です。

かつてそのことで若い人に「バンドって何ですか?」と言われた体験があります。

http://mitikusa.typepad.jp/blog/2008/04/post-d192.html

その時は調べて、私がバンドの使い方を間違えていたことを知りました。

新しいことを知ったのはよかったのですが、

長年使ってきた言葉が違っていたことを知ったのは少々がっくりでした。

   

しかし!

少し気が変わりました。

以前は確かに腰帯のことを「バンド」と呼んで通じたのです。

きっと同じ世代なら通じるはずです。

つまり腰帯のことを「バンド」という言い方はちゃんと存在したのです。

いや同世代の間では存在しています。正しいのです。

胸を張ろう。

辞書だって、世間の使われ方を見て書かれるはずです。

もしかしたら、古い国語辞典で調べたら、「バンド=腰帯」とあるかもしれません。

   

   

同じことが「ドッチボール」にも言えます。

「ドッジボール」が正しいと言われる昨今ですが・・・

もちろんもとになった英語の綴りを見ると確かに「ドッジボール」だとは思います。

そう書いたこともあります。

http://mitikusa.typepad.jp/blog/2007/06/post_1.html

でも、私たちは「ドッチやろう」と確かに言い合っていて、通じていました。

私たちが子どもの頃に使っていたのは、やっぱり「ドッチボール」です。

英語の綴りからカタカナを作ったとは思いません。

耳から聞こえた言葉をカタカナにしたとしたら、

「ドッチボール」と聞きとった可能性もあるわけです。

実際に「ドッチボール」で検索すると、たくさんヒットします。

    

    

もし世間に逆らって、「バンド」「ドッチボール」を使い続けたら、

再び世間がそうなるかもしれません。

    

揺れる言葉。

絶対これじゃないといけないと決めるのではなく、少し楽しみたくなりました。

教師がこんなんじゃいけないかな。   

「バンド」「ドッチボール」は少なくとも使い続けたいと思うようになりました。

恐る恐る使っていた自分がさびしい。

    

次の投稿がラスト。

「ウザッタイ」の短縮形が「ウザイ」/これも方言でした

(前投稿のつづき)

「ウザイ」という言葉を最近よく耳にするようになりました。

担任しているクラスの子どもでも口にしています。

小5の息子も言うことがあり、耳触りの悪い言葉だと思っていました。

   

井上史雄さんは、このウザイについても調べていました。

このことについては、井上史雄さん監修の「方言と地図」(フレーベル館)がわかりやすいです。

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次のように書いてありました。

   

全国区になった「うざったい」

「うざったい」は、もとは(東京都の)多摩地方で使われていた言葉で、

【気味が悪い、わずらわしい】という意味でした。

小さなものがたくさん群がることを「うざる」と言い、

そこから転じた表現です。

今では全国に広がり、各地で使われています。(39p)

   

その後さらに短縮されて「うざい」となり、今では全国の若者を中心に使われています。(23p)

   

「うざったい」は1980年代に急速に普及したようで、

1993年にはほぼ全国に普及。

その中で短縮形「うざい」が登場。

2002年以後に広がり始めたようです。

※参考:「日本語は年速1キロで動く」(講談社現代新書)

   

井上さんは「日本語は年速1キロで動く」の中でこう書いています。

   

「ウザッタイ」「ウザイ」などの言い方は、流行語と違って一時的なものではない。

これまでも広がり続けたし、これからも長く使われるだろう。

ただし由緒正しい標準語と見なされることはなく、

評論や学術論文などの改まった文章などではなかなか使われないだろう。

地方で生まれて、新しく東京に広がった方言なので、こういうのを「東京新方言」と名づけてみた。(24p)

    

一時的なものではなく、これからも長く使われる!

「ウザイ」は近くにあってほしくない言葉です。

しかし、簡単にはなくならない根の深さを感じました。

   

まだつづく。

「ら」抜き言葉の発祥の地は・・・

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先日から関心をもっている「ら」抜き言葉。

勤務校の教頭先生の専門が国語なので話をしていたら、

上の本を紹介してもらいました。

「日本語は年速1キロで動く」(井上史雄著/講談社現代新書)

拾い読みしたところ、面白い。

さっそくこの著者が書いている他の本を市の図書館に行って借りてきました。

その結果知ったことをこのブログに書こうと思います。

いつものように、血や肉になってほしいためです。

   

テレビやラジオの発達で、標準語が広まり、

地方独特の方言は衰退しているととらえがちです。

私もそうです。

ところが方言はしぶとくて、変化しながら広がっていくという発想を

井上さんは持っています。

「ら」抜き言葉もその一つと考えています。

地方で生まれた方言はしだいに広がって東京にまで伝わります。

その速さは、年速1㎞ほど。ゆっくりです。

そして一度東京都区内に流入すると、全国に波及します

   

「ら」抜き言葉について井上さんはこう書いています。

   

「ら抜きことば」の「見れる」「受けれる」などは、

明治初期に愛知県などで使われていたことが分かっており、

その後中部地方を経て東京に入ってきたと思われる。

100年ほどの間に300キロほど広がったことになる。

年速3キロ。(26p)

    

「ら」抜き言葉のように、地方の方言が東京に入ってくるのは、

標準語が地方に広がるのと比較して、「逆流」と表現しています。

方言が東京に逆流してくると、

「ことばの乱れ」として非難・攻撃されそうな現象が起きるようです。

「ら」抜き言葉も非難されています。

    

   

気になるのは、「ら」抜き言葉を使っていた地方が愛知県だと指摘されているところ。

まさに私が住んでいる愛知県

それも愛知県東部が「ら」抜き言葉の発祥の地のようです。

ここですよ、ここ。

確かに会話の中には「ら」抜き言葉がよく出てきます。

「今日来られますか?」というのを、

ここらでは「今日は来れる?」と平気で聞いています。

「来れる」なんて、標準語だと思っていました。

   

「ら」抜き言葉発祥の地の人間が、

「ら」抜き言葉に悩んでいる(悩んでいないか~)わけで、

あまり冷静には語れないよなと思いました。

   

最近よく聞く「うざい」のルーツも面白かったです。次の投稿で。

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