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2021年6月12日 (土)

「泳ぐ者」/「なぜ」を中心にした時代小説

    

今日は令和3年6月12日。

   

この本を読みました。

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「泳ぐ者」(青山文平著/新潮社)

  

こんな小説もあるんだなと思いました。

事件と遭遇した時に、

主人公が「なぜ」と思ったことを中心に

解き明かしていく。

見過ごしてしまいそうな「なぜ」を探っていく中で、

それぞれの人たちの事情が浮かんでくる。

おかげで読者はその事件のことをまるごと納得できます。

こんなに「なぜ」を中心にした時代小説があるんだなあ。

面白かった。

  

  

引用していきます。

   

  

科人(とがにん)の裡(うち)に棲む鬼を追い遣って・・・

(72p)

  

「裡」という漢字が気になりました。

普通なら「内」という漢字を使うところ、

この本では「裡」が使われていました。

  

なんてこったと胸裡で己れを罵倒しつつ男を捕縛する。

(157p)

 

ここでは「胸裏」と書くところを「胸裡」とありました。

  

「裡」

この字について調べました。

   

goo辞書から引用します。

  

①うら。衣のうら。物のうらがわ。 ②うち。なか。内部。

③…のうちに。

[参考]現代では「…のうちに」の意で使われることが多い。

「極秘裡」「秘密裡」

   

確かに「極秘裡」「秘密裡」という時の「裡」です。

(書けと言われたら書けなかったでしょう)

    

  

風がすっと動いて、正嗣は薬草の庭に目を遣る。そして、おもむろに

つづけた。

「こんな話をしてよいものかどうか・・・」

キキョウやゼニアオイはまだ咲いている。

「お話しいただけるなら、なんであれ、ありがたく」

雲を掴むように直人は話を訊いている。己れの問いが的を射ている自

信はまったくない。正嗣のほうから話してくれるなら願ってもなかっ

た。

(75p)

  

「なぜ」を知りたくて、話を訊いている時の細かな心情が

書いてある部分でした。感心しました。

  

  

「大きなことをやるには、小さなことをきっちり詰めるのが必須で

す。勘定所に些事(さじ)はない。どんなに細かなことでも手抜き

なく仕上げてこそ勘定所です。で、あれはどうなっているとか、あ

れと比してどうだとか、あれの前例はどこにあるとかいう、大量の

”あれ”が日々生まれるわけです。”あれ”が”あれ”を生んだりする」

澄まし汁のように味噌が薄い蜆汁を吸ってからつづけた。

「誰かにその大量の”あれ”を尋ねたとしたら、三割即答できれば天

才、五割を答えたら神か仏です」

(80p)

  

これは教員の仕事でも同じだと思います。

   

  

ここが堪(こら)えどころと制して法泉寺の門前にあった蕎麦屋で

チロリとせいろを頼んだ。

一日中歩き回って、聞き漏らしちゃならない話を聞きつづけたせい

だろう、一本のチロリがずいぶん効く。

(104~105p)

  

「チロリ」が何であるのか気になりました。

この容器がチロリのようです。

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https://tanoshiiosake.jp/6422

ビール飲みにはわからない用語でした。

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