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2020年1月20日 (月)

「橙書店にて」④ 「うつくしいひと/うつくしいひと サバ?」

  

今日は令和2年1月20日。

  

前記事に引き続いて、「橙書店にて

(田尻久子著/晶文社)より引用します。

  

耳元で、とくとくとく、と人間より早い心音がかすかに聞こえ

ると、少しだけさみしくなる。たまに店に連れて行く白猫は、

いつも顔の横にぴたりと寄り添って寝る。二人で寝ているとき

は、必ず真ん中に入ってどちらかに寄りかかる。最初は、ぐる

ぐるぐる、と喉を鳴らす音が聞こえるが、寝入ると静かになっ

て、耳元に小さな心音が聞こえてくる。とくとくとく。人間よ

り心音が早いということは、それだけ自分より早く死んでしま

うということだ。

(132p)

  

猫としっかりお付き合いすると、心音まで聴けるのですね。

とくとくとく。生きている証拠ですが、

悲しい運命も予想されるものでした。

 

  

店にはいろんな人が来る。なぜ来るのだろう、と迎える私が思

うような人も来る。ものぐさだし、店を日々営業するというこ

とがいちばん大事だと思っているから、イベントの企画などを

自ら考えることはほとんどない。でも、行くよと言われるとな

かなか断れない。うれしいし、お客さんも喜ぶ。それで、スケ

ジュールが可能な限り対応していると、いろんな人が来てすご

いよね、とやり手ばばあのように言われることがある。

(140p)

  

谷川俊太郎さんや村上春樹さんも訪れるお店。

こういう人生もいいですね。  

  

  

なんと、行定勲監督の映画のロケ地にもなっています。

 

映画は2016年の3月に菊池映画祭で公開されたのだが、そ

の翌月、熊本自信が起こりチャリティー上映されることになっ

た。撮ったときは、行定さんもスタッフも出演者も、地震が起

こることなんて知る由もない。

タイトルは「うつくしいひと」。そこには、崩れる前の熊本城

の石垣が映っていた。壊れる前の通潤橋も映っていた。そして、

地震前の店内も映っていた。壁はひび割れておらず、天井も壊

れていない。古い建物で、もとから傷んでいたところも多かっ

たが、映画の中でライトであらが見えなくなっている。よく知

っているはずのその場所は、思いがけずうつくしかった。

(149p)

  

熊本地震の後、「橙書店」は被災し、引っ越しました。

そこがまたロケ地となって、

「うつくしいひと」の続編が撮られました。

  

店を移転することになった。夏頃から新店舗の工事をはじめた

のだが、工事中に行定さんが立ち寄られた。ふたたび熊本の街

を撮るためにロケハンをしている、と言う。「うつくしひと」

の続編としてつくるので、移転した橙書店でも撮影したいとお

っしゃった。撮影日を尋ねると、ちょうど工事が終わる予定の

頃だ。地震のあと、工務店さんやいろんな業者さんは休日返上

で働いている人ばかりだ。もしかしたら撮影に間に合わないか

もしれないから、書店の場面は入れないほうがいいのではと言

ったのだが、地震のその後を撮りたいのだとおっしゃった。

地震があっても、ほかの災害があっても、死なない限り暮らし

続ける。なるだけ、普通の日々を続けようとする。そういう人

々の姿を残したいと思われたのだろうか。撮影のあとに地震が

起きたのも、引っ越し直後にふたたび撮影が行われるのも何か

の縁だから、撮っていただくことにした。

(149~150p)

  

人を集める橙書店がロケ地にもなってしまいました。

気になる映画です。

今どきの動画サービスだと、

この映画を見たければ見ることができそうです。

440円。

どうしようかな?


YouTube: うつくしいひと/うつくしいひと サバ?

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☝ きっとこの場所が「橙書店」だ。

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