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2014年11月

2014年11月30日 (日)

岡田准一さんの輦(れん)/高倉健さんのガッツポーズ

  

今日は11月30日。

  

勤務校の研究発表がすんでから始まった11月。

なぜかやる気になる11月。もう1ヶ月がすんでしまいました。

もう1日、しっかり生きたいですね。

  

「ザ・テレビジョン」(2014 No.48/KADOKAWA)の記事です。

  

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12月7日放映の大河ドラマ「軍師官兵衛」の紹介文です。

老眼のため、上の文章のフリガナがなかなか読めませんでした。

れん

と書いてあるのですね。

虫眼鏡で拡大してわかりました。

「輦」・・・気になりますね。

調べていくと、「輦」と言うよりも「輦台(れんだい)」の方が適しているように思います。

江戸時代に川を渡る時に使った形のものに、近いように思えます。

この輦に乗ることは、主演の岡田准一さんのアイデアだそうです。

  

こんな文章を見つけました。

  

進撃する如水が乗る、みこしのような「輦(れん)」は、岡田のアイデア。

「象徴的なものに乗りたいとギリギリに言ったらスタッフが急きょつくってくれた。

1話から参加してくれてるエキストラさんが一日持ち続けてくれました」。

本物の甲冑(かっちゅう)を着込んだ岡田が乗る輦は重い。

「本当に支えられて現場にいることに感謝していました」

スポーツ報知 岡田准一「自分がスタンダードに」官兵衛から始まる天下取り!12・21最終回

  

そうだったのですね。史実にあることではなかったのです。

どんな場面になるか楽しみです。

  

  

  

同じく「ザ・テレビジョン」の記事です。

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思い出の映画はいくつかありますが、

「海峡」(1982年)の開通直後のガッツポースは良かったなあ。

このサイトで、ガッツポーズが見られます。

拝啓、活動写真様  海峡

自分も撮影に挑戦してみたいです。

  

  

今年なくなった人の一人、有田和正さんもいろいろ思い出します。

新任教師の頃に、いろいろ本を読みました。

法則化運動の本よりも、出会いは早かったです。

偶然にも、授業を見てもらったこともありました。

自分にとっては、体調最悪の時で、とても悔しかった思い出があります。

メルマガ「教材・授業開発研究所ニュース」で、

有田和正さんの関連本が発行されたことを知りました。

 

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注文しました。

また有田和正さんから勉強したいです。

  

2014年11月27日 (木)

「美の壺 File289 結び」/花結び

  

今日は11月27日。

  

寝る前にもう1本投稿。前投稿の続きです。

  

8月10日に放映された「美の壺 結び」から。

  

「花結び」というのが紹介されました。

作品を載せます。

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上の2枚目の写真では、3つの「梅」でしたが、

3枚目になると、「桜」「桔梗」になっています。

花結び作家の田中年子さんの手にかかると、こんなふうに変化するのです。

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こんなふうに紐を結んだりしてできる美しい飾りを、

「花結び」というそうです。

作品をもっと載せます。

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これらの「花結び」の起源の話が、とても面白かったです。

その部分を、聞き書きしてみます。

  

ナレーター

優雅で美しい「花結び」

そのルーツには意外な歴史が隠されています。

(中略)

「花結び」の始まりには、茶道が深く関わっていました。

主人の傍らに置かれた、茶入の袋。

その口紐の結びが、「花結び」の起源でした。

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戦国時代、千利休等が完成させた茶の湯。

織田信長、豊臣秀吉をはじめとする武将に愛され、時に政治に利用されました。

茶の湯の席で、武将たちが恐れたのは、茶に毒を盛られること。

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そこで、武将に使えた茶人たちは、ある仕掛けを考え出しました。

日本に伝わるさまざまな結びをまとめた、「むすびの記」

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そこには、茶に毒が盛られないよう、袋の口を結ぶ方法がいくつも記されています。

簡単にはほどくことができない鍵の働きをする封じむすびです。

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花結び作家の田中年子さんが、ほどくのが最も難しい「真の封印結び」を、

古書に描かれた絵から再現しました。

これは映像でないとわかりにくいのですが、

何枚かの写真を載せます。

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ナレーター

戦国の世が生み出した「封じむすび」

江戸時代、天下泰平の世になると、袋の結びの美しさを競うようになります。

それが「花結び」と呼ばれるようになります。

  

  

そうだったのですね。

面白い話でしょ。

茶道を完成させた・・・という表現を、特に千利休の場合によく聞きます。

完成させるとは、このような茶入れの袋の口の結び方にまでこだわっているのですよね。

「完成」のイメージが初めて浮かびました。

「美の壺 File289 結び」/飾り水引

  

今日は11月27日。

  

8月10日に放映された「美の壺 結び」は面白かったです。

この番組について、ブログに書き留めておきたいです。

  

再放送だったようです。

初めはいつ放映されたのかな?

調べたところ1年ほど前の2013年10月4日だったようです。

  

いつものように、番組の写真を使いながらまとめていこうと思いますが、

NHKの「美の壺」のサイトの「これまでの放送」が充実していました。

鑑賞マニュアル 美の壺 これまでの放送

さらには、その放送自体が見られる場所がありました。

とらちゃんのラジオがいいね ★美の壺 File289 「結び」 2012年10月4日

(2012年となっていますが、2013年が正しいと思います)

番組の内容もしっかり紹介されていました。

  

自分らしく、ちょっと脱線しながらまとめていきたいです。

  

最初に紹介されたのが、水引です。

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ある文房具店の映像です。

水引が施された祝儀袋が並んでいました。

上の写真のうち、2番目のは富士山を表しています。

3番目のは英語でした。驚き。こんなのがあるのですね。

調べたところ、このアルファベットの水引は3240円(税込)するようです。

※参考:Kochi アルファベット水引

ちょっと躊躇してしまう値段ではあります。

このサイトを見ると、アルファベット水引の発案者のデザイナーが紹介されています。

NHKの番組に登場して、世間の関心は高まったでしょうね。

  

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これらの水引の祝儀袋は人気があるようです。

「リボンのような感覚」という表現は、納得です。

日本人らしく器用にしばったり、曲げたりして出来た水引は、

手が込んでいる分だけ心が込もっていて、いいなと思いました。

  

  

この番組を見て、そう思ったので、一つ実行しました。

毎年、以前ホームステイさせてくれたオーストラリア在住の方に、

クリスマスカードと日本のカレンダーを送っています。

カレンダーは今回も、今森光彦さんの「ニッポンの里山」です。

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A1gjewa6cilアマゾン

  

このカレンダーの包みに、水引を添えようと思いました。

  

プレゼントに添える水引を「飾り水引」と言うそうです。

このサイトで注文できます。

和敬静寂 飾り水引

2日前に注文しました。これです↓

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松の葉と松ぼっくりが、本物に近く表現されているのが気に入りました。

値段は250円。ただし税をプラス、送料をプラスして、

合計820円かかりました。

おそらく今日届きます。実物を見るのが楽しみです。

アップ写真をブログに掲載したいですね。

  

  

番組は、和菓子の「結び」も紹介。

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ナレーターさんの言葉

  

和菓子の世界でも、結びは欠かせません。

作っているのは、おめでたい紅白の記事を結んだ「千代結び」(写真)

縁を結ぶという語呂合わせから、結びのお菓子や料理は、

お祝いの世界の定番です。

  

菓子作りの職人が言っています。

 

和菓子の結びという形は、人と人との縁を結ぶ、契りを結ぶとか、

そういった、人生と人生を結び合うという気持ちで、

お作りしています。

  

結婚は「人生と人生を結び合う」というのを実感しましたね。

  

  

続いて「花結び」について書きたかったけど、もうこんな時間です。

学校の仕事をしないとね。

また今晩です。

昨晩はドラマ「相棒」は特別番組のために放映されませんでしたが、

今晩の「科捜研の女」は放映されるかな?

2014年11月26日 (水)

「漢字検索システム」は重宝です

  

今日は11月26日。

  

毎日漢字クイズを教室でやっています。

ちなみに今日の問題はこれ↓

  

【4年生バージョン】

   

  友

 良◇感

    物

  

【6年生バージョン】

  

  近

重◇野

  力

  

   

答はわかりますか?

【4年生バージョン】が「好」で、【6年生バージョン】が「視」です。

  

教室に掲示してある漢字カードを使って、漢字クイズを作るにあたって、

たとえば、「友」「「良」「近」「重」などの漢字がどの学年なのかは重要です。

1006枚のカードから探すわけですから。

  

この漢字は何年生かすぐにわかるサイトはないかと探しました。

    

  

ありました。

ここです↓

漢字検索システム

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入力の場所に漢字を打ち込めば、すぐにその漢字が何年生の漢字か教えてくれます。

打ち込んでみます。

Photo_3   

この通りです。

とっても重宝しています。

もしかして最近このサイトを使っている回数は、私がトップではないでしょうか。

  

漢字を見ればすぐに「これは〇年生の漢字!」とわかるまでは、

使い続けると思います。

  

たとえば、文章をそのまま打ち込むこともできます。

上の文章をそのまま打ち込んでみます。

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こんな具合です。

  

  

さがせばいろいろなサイトがあって便利です。

  

  

アドレスからたどっていくと、

薮哲郎さんという奈良教育大学准教授のホームページに行き着きました。

薮哲郎のホームページ

(ホームページ→講義・実験・演習→その他・漢字検索システム)

この方の制作したものだったのですね。

ありがとうございました。

  

2014年11月25日 (火)

絵本「あなのはなし」を読みました

 

今日は11月25日。

  

「もっとおおきなたいほうを」(福音館書店)の二見正直さんの新作を読みました。

「あなのはなし」(ミラン・マラリークさく 間崎ルリ子やく 二見正直え・あな/偕成社)です。

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二見さんの「え・あな」という役割が笑えますが、

穴は大事な働きをしているので、「え・あな」なのでしょう。

偕成社のサイトにはこう書いてありました。

偕成社 あなのはなし

編集者からのメッセージの一部を引用します。

  

穴あき絵本にするにあたり、

どんな穴だったらこのすぐれたお話をより生き生きとさせることができるのか、

二見さんとともに試行錯誤。こんな形になりました。

  

簡単には生まれなかった穴なのですね。

(最初の穴の形は、靴下2つ”1足分”の形であることに気がつくのに、

少々時間がかかりました。なぜこの形なの?と疑問に思っていました)

  

  

靴下の穴が、誰も繕ってくれないから、靴下を飲み込んでしまった。

物語は、こんなスタートです。

もう何でもありのスタートです。

ナンセンス、ばかげた世界に入り込んでいきます。

穴は穴なんです。

それを表現するのに、本当に穴を開けてしまう面白さ。

穴はずっと穴でいつづけて、オオカミに飲み込まれても、穴は穴です。

穴は自分を失いません。強い存在です。

  

あなが、オオカミの おなかのなかに はいると

オオカミの おなかに、 あなが あいてしまいました。(19p)

  

オオカミが飲み込む時に、このオチは想像つきました。

やめとけ!と言いたかったです。

そして、その穴は・・・・ちょっとストーリーを書きすぎました。

続きは、本を手に入れて読んでみてください。

  

  

  

ナンセンスでもいいのですが、シュールという表現も当てはまる本かなあと思いました。

現実離れしている+ちょっと怖い面もある みたいな意味がシュールにあると考えると、

そう思います。

ラストの27pには、気になっていたものがちょこっと紹介されていて、

自分としてはホッとさせてもらったページです。

(同時に「そこはどこ?」という疑問を持ちましたが)

28pも良かったです。ハッピーエンドのお話になりました。

 

  

  

またいい本に出会えました。

明日、子どもたちに読み聞かせしよう。(今日は代替休日)

  

  

  

  

紙芝居もあるようです。

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地元の図書館の紙芝居コーナーにあるようですが、

見つけるのが大変そうだ。

でもいつか挑戦しよう。

  

  

  

  

※参考:ここでも道草 巧みなお話「もっとおおきなたいほうを」(2014年3月13日投稿)

※参考:ここでも道草 3月29日 長和町学者村へ(2014年3月31日投稿)

  

2014年11月24日 (月)

お金明神登山報告4/作ノ峰の窪地は快適な場所

 

今日は11月24日。

  

1回、間が空きましたが、登山報告の続きです。今回が最終回になるでしょう。

  

お金明神を見た後は、ワサビ峠をめざしました。

まずはお金峠。

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そして尾根伝いに歩いて行きましたが、

まあ無理せずに行こうということで、

作ノ峰を通過した直後の広い窪地をゴールとしました。

この窪地が良かったです。

その写真↓

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尾根は風が強かったのですが、この窪地は大丈夫。

さらに日が照れば、もう天国でした。

  

この窪地は、他の山行記を見ても記述があります。

夢は野山に 鈴鹿 お金明神〜クラシ北尾根〜イプネ その2 クラシ北尾根 2013年10月31日(木)

Shigeki's Suzuka & Star  上谷尻谷からクラジャン

鈴鹿の山歩き雑文集 神崎川からワサビ峠へ

山あっとらんだむ クラシ・イブネ

こんなにありました。

作ノ峰を通過直後の窪地は、思い出に残りやすいいい場所だということです。

2014年11月23日は私たちのグループが独占でした。

ここでおいしいりんごとコーヒー、そしてみかんをお裾分けしてもらいました。

私の昼食はどん兵衛のそば。

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液体つゆは初めて食べましたね。

家では、食べなくなったカップめんですが、山では美味しく食べられます。

特に寒い季節がいい。

 

窪地で空を見上げた写真も撮りました。

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幸せでした。

  

  

ここでUターン。帰路につきました。

作ノ峰には札がついていました。

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やっと判読できる文字です。

裏面を見たら、平成9年3月30日とありました。

15年あまり経てば字も消えちゃうね。

でも、ここでUターンをする私たちにとって、場所を確認できる貴重な札でした。

この札を真ん中にして記念撮影もしました。

  

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↑釈迦ヶ岳

  

  

帰りに、再びお金明神を撮影しました。

今度は下から撮影しました。

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周りに高い木がなかったら、そびえ立って、より立派だったことでしょう。

山の中にこの岩は、やっぱりすごいことです。

明神になることにうなづけます。

  

昔の人の方が行動範囲が広いと思います。

こんな山の中でも仕事をしていたのだから。

現代人は、切り開いた場所には行くかもしれませんが、

このような場所にわざわざ近づく人は少ないことでしょう。

お金明神を生で見たのは、いい体験でした。

今も、あの顔で東を見ているんだよなあ。また誰かと一緒に行ってで合わせたいなあ。

現代人が忘れかけている、苦労してでも出向いて見る体験をさせたい。お節介?

交通機関さえ使えば行けてしまうところばかりでは、人間駄目になりそう。

交通機関を寄せ付けない場所もあるんだぞ。

  

  

帰路の景色を並べます。

  

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↑沢に浮かぶ落ち葉。とっても綺麗な沢でした。

う~ん、写真でうまく表現できていません。

  

 

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Rimg6388↑往路では気がつかなかった滝。

落差があり、上からのぞくとちょっと怖い。

いい滝でしたが、何の看板もなかったです。

非常に写しにくい滝でした。

この写真ではわからないですよね。

  

  

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Rimg6393 ↑こんな立派な石柱なのに、釈迦ヶ岳の「迦」が抜けていたの?

これは大きなミスですね。

  

 

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下の林道から羽鳥峰を見上げました。

  

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↑林道コースの写真です。

  

駐車場に戻ってきました。

午後3時少し前に戻りました。

およそ7時間30分、山の中にいました。

天気に恵まれ、贅沢な登山ができました。感謝。以上で報告終わりです。

「崩れ」/心の中は種が一杯に満ちている

今日は11月24日。

今、手元には、本当は地元の図書館に昨日返さなくてはならない本があります。

  

「崩れ」(幸田文著/講談社)です。

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大谷崩(おおやくずれ)を目の当たりにして、俄然読みたくなった本です。

ここでも道草 11月3日は山伏岳その3/同じ道で下山/大谷崩れ(2014年11月5日投稿)

さっそく図書館で借りてきましたが、今日まで読めませんでした。

その前に読んでおきたいと思った本が読破できませんでした。

「海馬ー脳は疲れない」(池谷裕二・糸井重里著/新潮文庫)

もう何ヶ月も座右の本?ですが、読破できません。

仕方なく、「崩れ」を拾い読みしました。

しかし、ちょっとしか読まないのに、気になった文章がたくさんありました。

ここに書き留めておこうと思います。図書館の皆さん、もうしばらく待ってください。

(担任していた子が、図書館に就職していたので驚き。申し訳ない)

  

思えば、こんな文学的な記述の本を読んだのは久々だと思います。

心地よい回りくどい記述です。

  

ブツブツと小石を噛んだような具合で車がとまり、ドアがあけられた。(5p)

  

「ブツブツと小石を噛んだような・・・」

うまいことを言うなあ。アスファルトの上に石が散らばっているところで停車すると、

こんな感じになります。

  

妙に明るい場所だなあという感じがあり、車から足をおろそうとして、

変な地面だと思った。

そして、あたりをぐるっと見て、一度にはっとしてしまった。

巨大な崩壊が、正面の山麓から麓へかけてずっとなだれひろがっていた。

なんともショッキングな光景で、あとで思えばそのときの気持は、

気を呑まれた、というそれだったと思う。

自然の威に打たれて、木偶(でく)のようになったと思う。

とにかく、そこまで緑、緑でうっとりしていて、

突如そこにぎょっとしたものが出現したのである。(5p)

  

幸田文さんが、大谷崩を初めて見たのは5月でした。

安倍峠の初夏の緑を案内してもらっている時に、突然見たのです。

そこは昨日の安倍峠から西方へむけて続く山並だが、

尾根を境にして向側はやはり山梨県になる。

南を開放部にして,弧状一連につらなる山並みのうちの、

大谷嶺(標高約2000m)の山頂のすぐ下のあたりから壊(つい)えて、

崩れて、山腹から山麓へかけて、斜面いちめんの大面積に崩壊土砂がなだれ落ち、

いま私の立っているところもむろんその過去いつの日かの、流出土砂の末なのである。

五月の陽は金色、五月の風は薫風だが、崩壊は憚ることなくその陽その風のもとに、

皮のむけ崩れた肌をさらして、凝然と、こちら向きに静まっていた。

無惨であり、近づきがたい畏怖があり、しかもいうにいわれぬ悲愁感が沈澱していた。

立ちつくして見るほどに、一時の驚きや恐れはおさまっていき、

納まるにつれてーいま対面しているこの光景を私はいったい、

どうしたらいいのだろう、といったって、どうしてみようもないじゃないかー

というもたもたした気持が去来した。(6p)

  

崩れに心を奪われた幸田さん。他のことをやっていても、崩壊が頭から離れません。

そして、幸田さんは、「心の中」の話を書き始めます。

  

人のからだが何を内蔵し、それがどのような仕組みで運営されているか、

今ではそのことは明らかにされている。

では心の中にはなにが包蔵され、それがどのように作動していくか、

それは究められていないようだ。

そういうことへかりそめをいうのは、おそれも恥もかまわぬバカだが、

私ももう七十二をこえた。

先年来老いてきて、なんだか知らないが、どこやらこわれはじめたのだろうか。

あちこちの心の楔が抜け落ちたような工合(ぐあい)で、締りがきかなくなった。

慎みはしんどい。締まりのないほうが好きになった。

見当外れなかりそめごとも、勝手ながら笑い流して頂くことにして、

心の中にはもの種がぎっしりと詰まっていると、私は思っているのである。

一生芽をださず、存在すら感じられないほどひっそりしている種もあろう。

思いがけない時、ぴょこんと発芽してくるものもあり、だらだら急の発芽もあり、

無意識のうちに祖父母の性格から受け継ぐ種も、

若い日に読んだ書物からもらった種も、あるいはまた人間だれでもの持つ、

善悪喜怒の種もあり、一木一草、鳥けものからもらう種もあって、

心の中は知る知らぬの種が一杯に満ちている、と私は思う。

何の種がいつ芽になるか、どう育つかの筋道は知らないが、

ものの種が芽に起きあがる時の力は、土を押し破るほど強い。(9-10p)

  

種の話と「崩壊」がどうつながると思いますか?

幸田さんは、小さい頃から伯父さんにさんに

「おまえはいい船乗りになれる」と言われたことがうれしくて心に残っていました。

五十歳になったころに、捕鯨のキャッチャーボートに乗らないかと誘われた時に、

すぐに乗ったそうです。

その理由として、伯父さんに言われたことが種になり心の中にあり、

誘いを受けるという「偶然に得たほんの些細なつて」によって、発芽したというのです。

そして、「崩れ」が、幸田さんの心の中にある種を発芽させたようです。

  

今度のこの崩れにしろ、荒れ川にしろ、また種が芽を吹いたな、という思いしきりである。

あの山肌からきた憂いと淋しさは、忘れようとしても忘れられず、

あの石の河原に細く流れる流水のかなしさは、思い捨てようとしても捨てきれず、

しかもその日の帰途上ではすでに、山の崩れを川の荒れをいとおしくさえ

思いはじめていたのだから、地表を割って芽は現れたとしか思えないのである。(12p)

  

こうして幸田文さんは、「崩壊」について調べて、その報告をし始めます。

全国の「崩れ」の現場に出向いて報告していきます。

それは新聞で発表されます。

最初、「崩れ」は大谷崩を舞台にした人間ドラマが描かれている小説だと思っていました。

しかし、違いました。

文学的な記述はたっぷりありますが、

これは興味のあることを調べて体験して報告した文章でした。

レベルは違いますが、私のブログと一緒ではありませんか。

そして、この「心の中は知る知らぬの種が一杯に満ちている

種が芽に起きあがる時の力は、土を押し破るほど強い

といった文章は、共感しまくりです。

72歳から、そんな実践をしてしまった幸田文さんの生き方は、私には応援歌です。

  

私は「逃げ」だとも思っていました。

本当はやらないといけないことがあるのに、現実逃避でブログに関わっていると。

でも、7年半以上ブログを書いてきて、ちょっとずつ自信が持てるようになってきました。

現実逃避ではない。これが人間にとって王道なんだと思えてきました。

何かブログでやってきたことが、最近は生きてきているのです。

生きてきているのを実感できるのです。

幸い、私の頭の中には、種がいっぱいあり、発芽しやすい状況のようです。

恵まれていると考えて、行動しよう。さしあたり、次の休みに大谷崩に行きたいなあ。

 

   

  

以上。これで本が返しに行ける。

  

お金明神登山報告3/お金明神

  

今日は11月24日。

  

登山報告の続き。

  

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お金谷出合から登ってきた道です。↑

  

今回の登山は、誘われて参加。下勉強もせずに、よくコースのことも分からずでした。

目的地の一つ、「お金明神」という魅力的な名前の場所がどんな場所かも分からずに、

とにかく歩いていました。

お金明神が迫ってきましたが、その場所が不明。

私たちは、他の若い登山者と一緒に探しました。

その結果、ついにたどり着きました。

この天狗のような顔に驚き。

この威厳が、祀られる出発点なのだと想像しました。

  

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お金明神の傍らにある、この札に書いてあることが、全て解読できず。

誰かこの札に書いてあることを説明している人はいないか、

いろいろサイトを見ました。

ないんですね。

ここを訪れた山行記はいくつもあるのですが、札について触れていません。

写真さえ掲載されていません。

味のある札なのですがねえ。

諦めかけていたところ、見つけました、このサイト。

菰野町 歴史こばなし お金明神 文 郷土史家 佐々木 一

  

ここにこう書いてありました。

  

ここが目ざす「お金明神」の鎮座地で、

巨大な岩塔の下、佐目相谷の集落名で

「ここはお金明神の清浄なる神域みだりに汚すべからず」

の制札が建てられています。

  

この「制札」というのが、上の写真の札のことだと考えられます。

つまり、意訳するとこういう意味なのでしょう。

もう少し引用します。

  

岩塔の北側の岩の上から南側に東へ向く明神を仰ぐと、

巨大な平たい岩盤の上に、 下から顎、口、鼻、眼、額と、

まさしく明神のお顔に違いありません

この重厚にして堂々たる岩塔を仰ぎ、

近江の佐目や相谷の村人をはじめこの山で木を伐り、薪を作り炭を焼く杣人、

そしてこの辺りの山は鉄、銅を産する鉱山多く、

危険をともなう鉱山師などが「お金明神」と崇め、

山の守り神として信仰して来たのでありましょう。(中略)

この明神の岩塔は、数えると六枚の層からなり、風化浸食の進み具合は、

国見岳の動(ゆるぎ)石、天狗岩などと類似していて、花崗岩が母岩の様であります。

母岩が生成のときに節目が出来、その割目に沿い雨水が浸透して、

それが氷結、融解の風化作用を繰り返して、

眼に当たるところは窪み、鼻は前へ出て高く、口は少し開き、顎は締って力強く、

下の台石との間に明瞭に透き間を明けています。

岩盤の下は垂直の絶壁です。

いかなる名工の石工に鑿(のみ)や石槌を持たしても、

このような細工は不可能のように思えてなりません。

まこと、大自然の営みは人智を超越して偉大にして巧みなるもの、

おのずと自然崇拝の心が生まれることになるのでありましょう。

  

このような文章を、サイトにアップしておいていただき感謝です。

またまた勉強ができました。

  

つづく

  

 

お金明神登山報告2/3年ぶりの愛知川渡岸

 

今日は11月24日。

  

登山報告の続き。

  

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羽鳥峰峠に着きました。小休止。

すぐ横にあるのは羽鳥峰。1人、登ってきました。

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羽鳥峰から、羽鳥峰峠を見下ろしました↓

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実は、ここまでの道中は、石の上ばかりを歩いてきました。

ガレ場の連続でした。

しかし、この峠を過ぎると様変わりしました。

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湿原があったり、落ち葉を踏んでの登山でした。

  

「ヒロ沢」に到着。

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ここが今回最も難所と思われていた場所です。

愛知川(えちがわ)を、靴を脱いで渡るかもしれないと予告された場所です。

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しかし、水量が少なくて、岩伝いに跳んで、渡ることができました。

かつて、この愛知川を素足で渡ったことがありました。

ここでも道草 クラシ・イブネ登山報告2 愛知川渡岸(2011年5月16日投稿)

とても冷たかった愛知川。

あの時は5月でした。今は11月下旬。

きっと冷たかったでしょう。素足にならなくて渡れて良かった。

向こう岸に渡った証拠の看板。

現在地を見てください。上の看板の現在地から移動しています。

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稀に、形のいい落ち葉がありました。

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途中、悪路もありましたが、お金谷出合に到着。

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目的地の一つ、お金明神はもうすぐです。  つづく。

お金明神登山報告1/砂防堰堤

今日は11月24日。

  

昨日の登山の報告を書いていきます。

  

今回のコースはこれです。

朝明(あさけ)渓谷有料駐車場にあった地図に、線を書き込みました。

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橙色の線が往路。下山道はほぼ同じ道ですが、ピンクの線の林道を歩きました。

今回の目的地は「お金明神」「わさび峠」でした。(わさび峠には届かず)

  

朝明駐車場です。

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ここには2011年5月に来ていますね。

ここでも道草 クラシ・イブネ登山報告1(2011年5月15日投稿)

何となく覚えていました。

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駐車場付近の紅葉は最盛期直後といった感じでした。

出発は午前7時25分頃でした。

  

  

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猫谷への分岐点。(なんでこんな名前になったのだろう)

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その分岐点の手前にあった看板と石碑↓

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こんな看板と石碑がありました。

川の土砂の流出を抑えるために作られた「なわだるみ堰堤」です。

全部で7つあるなわだるみ堰堤のうち、

4つが国登録有形文化財に指定されているそうです。

堰堤の写真を載せます。

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大きな石の組み合わせ。

明治時代の工事。大変だったろうなあ。

参考:すばらしきみえ 朝明川砂防堰堤群

こんな文章がありました。引用します。

鈴鹿山脈の秀峰、御在所山と釈迦しゃかヶ岳の間に端を発し、伊勢湾へと注ぐ朝明川。

自然豊かな川沿いには、キャンプ場・バンガローなどが点在し、

四季折々に登山・観光客が訪れます。

また、渓流がもたらす巨石や砂は、庭石・石灯籠・盆栽用として様々に活用されています。
 

しかし、恵みの川は時に一変し、下流域住民は土砂災害に悩まされてきました。

そのため、明治30年(1897)に砂防法が公布されると、

随所に堰堤(上流から流出する土砂を抑制するダム)が築かれました。

中でも、オランダ人土木技師ヨハネス・デ・レーケの教えを受けて設計したものは、

水が流れる部分のゆるやかなたるみが特徴で、“なわだるみ堰堤”と呼ばれています。

  

「なわだるみ堰堤」は空石積(からいしづみ)と説明しているサイトがありました。

空石積とは?

これは石と石の間に、コンクリートを使わずに、石だけで積み上げる方法。

角を削ったり、石の形状をうまく組み合わせて積みます。

職人技だそうです。

石と石の間にコンクリートを使うのは練石積ねりいしづみ)というそうです。

  

ちょっと勉強できました。

 

  

  

 

  

  

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